「宣材撮影」というと、まず基本は応募用の全身写真とバストアップ写真。ありがちなのが、カラーのペーパーバックの前できっちりかっちりとポージングして全方位型のライティングで撮影するというもの。
タレント/モデル事務所はコンポジットを作り、それをキャスティング会社やクライアントに定期的又はオーディション前に送る。事務所によってはそれをクリアファイルに纏めたものを作成したり、印刷物を作って立派なカタログを年に1度〜2度、作成するところもある。
外国人モデルのエージェンシーの場合はコンポジの作り方は異なる。名前、サイズのみで、経歴云々は出さない。クレジットよりもその時点でのクライアントとの化学反応や世界観、イメージに訴える。選択している写真は、まず表にインパクトの強い顔アップの写真、裏に4つ程のイメージっぽい写真。
モデルの場合はブックを作成する。その中には様々な写真を入れ、クライアント側は、「このモデルはこの様に化けられるんだ、作り込めるんだ、仕上がるんだ」とイメージする。それ程、写真力が重要。オーディションのスケジュールが合わずに、マネージャーがブックのみを持参する場合もある。競争率が高いオーディションでも、ブックのみのモデルが受かってしまう場合もある。
昨今は「宣材写真」の作風も変化してきた。インターネットの普及、メール環境の充実によって、紙媒体の写真やコンポジからnetでの表現が重要視される様になってきた。確かにクライアント側も役者やモデルの写真が郵送で送られて来ても、机の上に埋没する事も多い。Netであればオンディマンド、そして関係者への伝達も容易。そして、最近はfacebookやtwitter等のSNS、個人ブログ、投稿動画(写真の動画への挿入)の普及により、写真や文章にての自己表現の手段が増え、写真点数と質とも拡充してきた。私自身も撮影スタイルが変化してきた。「証明写真+α」の時代では無い。
そして同時にクライアントやキャスティング会社の選考基準も、より、キャラクター、人間観、感性、生き様、ライフ等が重視されてきた様にも思える。要はどれだけ面白い (interesting) 人物かがポイントになってきたのでは無いだろうか。
私はスタッフとして、キャストの持つABC ( Attitude, Behavior, Character )と向き合い、表現する事が使命だと思う。宣材写真を撮影する際もその様な心構えで臨んでいる。