カメラレンズによる表現力

「カメラ本体は消耗品、レンズは資産」
「写真表現力は感性、ライティング、レンズ選び」
「バリエーションのある画はレンズ選びから」

いつもブログは写真についての内容ばかりだが、機材であるレンズについて記載してみる。フォトグラファーにとって重要なのはアウトプットされる作品であり、機材について論じる事では無い。もし、ピカソが筆や絵具について論じているとドン引きしてしまう。ヒッチコックがクレーンやフォローフォーカスについて論じるのも同様。表現者はツールを論じるよりも表現するのが役割。

私は機材好きでは無いが、発想が機材によって制限される事を極度に嫌うので、使用機材には拘りたい。最重要事項はレスポンス。想いがマシンにしっくりと伝わるか。

ただ、レンズ選びは表現力を構成する重要な要素。表現力により影響するのは、カメラ本体よるもレンズ。いくら感性が豊かでも、レンズ選びを間違うと、気合い入れたところで、撮れないものは撮れない。

今回、自分のメモの為に使用レンズについて纏め、考察/検証してみた。

レンズを語る際に大事なのは各自の撮影のフィールドに合致しているかという事。レンズ単体スペックを語るのはメーカーの方に任せたい。自分の撮影対象、表現したい事がカタチになるかどうか。私の場合はポートレート中心。使用レンズ構成を見ると、アフリカの草原でライオンを撮影する事が無いのは直ぐに分かる。これではライオンに直ぐに食われてしまう。

■ 一般的にレンズ選択の際のポイントは、(私見)
1)レスポンスがいいか。
(フォーカスの速さ、スムーズさ、静かさ、重量、手に馴染むか等)

2)明るさ
(+f値がズーム時でも一定な事)

3)ズームレンズの場合はズーム操作が前後動作では無いもの
(対ブレ/ホコリ、動画時のリグ使用、右手負担等)

■ レンズとの付き合い方
1)ターゲットイメージ(撮りたい画)に合わせたレンズ選び。
(レンズが主役では無い)

2)撮影場所に相応しいか
(広さ、明るさ、治安、天気や環境、違和感が無いか、運搬手段等)

3)最重点事項は何か
(美しさ、シャッターチャンスや機動力、時間制限、TPO等)

4)レンズ表現力を最大限に発揮できる環境作り
(照明、スタジオのインテリアや壁のテキスチャー等)

上記の一覧表をグルーピングして、1)〜5)の項目にリンクさせ、下記にコメントしてみた。

■ 自分の使用レンズのコメント
1)機動力、シャッターチャンス重視
16-200mmの3本のズームレンズ。
一般的なポートレート、スナップ撮影は網羅。
複数カメラを使用しない場合、レンズ交換がしにくい現場では
24-105mmで代用。
特に動画同時撮影の現場では複数の24-70mmと複数カメラ使用し、
機材交換や設定変更無しで機動力アップ。

2)ボケ味、柔らかいクラシックな風合い
50/85mm f1.2を可能な限り開放で使用。
2本あれば制限スペースのある撮影場所でも全身〜アップ撮影が可能。
柔らかい風合い、ストロボと環境光をミックスした色調表現が可能。
動画連動の場合はスチールと動画をシームレスに違和感なく表現できる。
暗めのビデオ照明使用時でも、画質を劣化させる事なく、表現力が増す。

3)不思議な風合い/脚長効果
TS45/90mmを開放でティルト使用。
カメラに近い方の眼1点ピントの溶ける様な不思議なボケ味。
TS45mmのシフト使用により、脚長効果。
被写体はレンズ効果では無く、実力だと思っている場合が多い。

4)バリエーション/アクセントのある画づくり
15mm 魚眼、180mm マクロで非日常的な画角の写真を撮影。
前者はスナップ等で、後者は眼や唇のみのアップ等に力を発揮。

5)動画を意識したワイド系な画づくり
動画連動の際は横位置撮影を多用するので、ワイド系は重宝。
14mmは広角だが歪みが少なく、撮影後のレンズ補正処理が殆ど不要。
よって、建築やインテリア撮影に使用しても有効範囲が極めて広い。
引の無い狭い場所でも歪みの無い集合写真が撮れてしまう。
16-35mmに無い驚きの表現力。
TS17mmは本当に不思議な風合いの屋外写真がとれる。
しかし、逆に言うと、人の両目の視野角相当で、1点ピントが可能。
よって、人の視線に最も近い自然な画が撮れるレンズと言えるだろう。

前述の如く、レンズ主体では無く、あくまでもターゲットイメージ(撮りたい目標の画)ありきで、逆算して、表情/ポーズ、スタイリング、背景、ライティング、カメラ設定、レンズ選びとブレークダウンしていく事が大事。

そして「感性」 → 「技術/レンズ選び」の間を適切にアクセスする力が重要。

私は撮影予約の無い日はマネキン相手にライティング含め、スタジオで実験、検証を繰返し、新しい風合い、色調、雰囲気のある写真を模索/創造中。

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