少し前になりますが、トイレのピクトグラムを作成しました。
まず、作成しようと思った背景や理由について書いてみます。スタジオのトイレはフォトギャラリーに隣接しているので、あまり従来からの露骨な赤x黒や赤x青の平凡な出来合のピクトグラムは似合わず、貼りたくありませんでした。しかし、全くサインが無いのでは、お客様から毎回場所を聞かれ説明しなくてはならず、何ら、ギャラリーの雰囲気に溶け込むデザインのものを制作してみようと考えました。
続いて作成にあたってのプロセスを記載してみます。従来のピクトグラムについてのステレオタイプな発想に違和感を感じました。赤は女性、黒や青は男性の色だと断定しています。男性でもピンクを好む方は多く、女性で黒を好む方も多いです。
そこで最初に作成したのは、これです。
男性と女性の通常のイメージする色彩を逆にして、且つ、服装も女性にストライプ、男性に水玉をデザインしてみました。そして、英語で”Please enter the toilet without a stereotype”(固定観念無くして、トイレに入って下さい)と入れました。それに多少、デザインと色を変えたものが下記です。
しかし、まだ、しっくり行かず、もっとシンプルにしてみたく、数日寝かしてみました。最初の男女の性別による色彩への違和感というコンセプトではなく、もっと主張せずに、お洒落感を出そうと考えました。既成概念への反発などへの主張よりも、まったく逆に「男性らしく、女性らしく」という原点に戻って男女が共存していく方が自然だと考えました。そこで閃いたのが、WC(Water Closet)を文字をベースに、Wを女性のバストと考え、Cを男性らしい胴体と考えて組み立てました。
これでも当初の主旨としてギャラリーに馴染むデザインとは大きく異なっています。そこで、女性を優しい淡いピンク、男性を薄いグレーとし、全体をオフホワイト(ベージュ系)にしてお洒落で目に優しいデザインにしました。下の文字も “Take it easy” では何か露骨で馴染まないので “Just Relax!”と優しい細い書体で入れました。トイレに入る事も人生の重要な時間であり、癒しの空間と捉えるデザインにしました。そして下記がその完成したデザインです。
早速にプリントして、ラミネートを掛け、リース(花の輪)に入れて、トイレに掛けてみました。
ギャラリーにも馴染みました。
以上がトイレサインの制作ストーリーです。