11月22日に品川プリンス クラブeXで行われたアルゼンチンタンゴのイベント「ラグジュアリータンゴ」の撮影を行いました。このイベントはアマチュアダンサーの発表会、プロのショー、観客全員対象のミロンガ(フロアーダンス)で構成されています。
ここ数年、スチール撮影を担当させて頂いています。過去から何度かタンゴショーの撮影をしてきて、毎回、反省してフィードバックしながら機材の進歩も含めて撮影方法を自分なりに進化、改良させて来ました。特にタンゴ会場は場内が暗いがストロボは炊けず、且つスピーディーな動きで急に脚が上がったりするので構図が作りにくく、ダンサーの顔へのピント合わせの測距点を移動するのが困難。刻々と変化する照明の明るさや色の変化への対応。ダンサーに追従しながらの水平垂直。撮影者泣かせです。毎回、露出、レンズ選び、サポート機材選び等を検討してきました。何が正解かは分かりませんが、トライ&エラー&フィードバックしか方法は無いのでしょう。
まずは、ミロンガの場合は雰囲気を醸し出す写真にする為、三脚を使用し、スローシャッターで撮影してみました。1/60当たりから始め、5秒くらい迄トライしてみました。ダンサーの踊りのテンポやシャッターを押した時の音楽のタイミングもありますが、人物のブレ歩合が異なり、用途に合わせてクライアントに選んで頂ける様にブレ度のバリエーションを納品しています。レンズも16mm-35mmのズームレンズや14mm単焦点等の広角レンズを使用して、場内全体をデザインと捉えた構図、ダンスフロアーのみの構図等もクライアントの好みや用途によってセレクトして頂くべく、様々なバリエーションにして納品しています。
場内の環境光や雰囲気を表現する為にはストロボを使用する事はありません。ただし、スローシャッターのブレにプラスして人物の芯を入れたい場合はストロボを炊いてからスローシャッターを続ける事はあります。
次にプロのショーを撮影しました。プロダンサーは一般の2倍近くのスピードで踊るので、一般ダンサーの撮影に比べ、高速シャッタースピードは確保しなければなりません。レンズを開放にしても環境光が暗いので、ISOはガンガンに上げなければ適性露出を確保できなくなります。デジタルカメラのセンサーの性能がアップされてきたので、ハイエンドマシンを使用する限り、この問題はクリアになりました。
スピードある被写体の撮影でもフィールドスポーツとは異なり、昼間の太陽光はありません。冒頭にも記載しましたが、撮影時に対応するポイントを下記に纏めてみました。
1)速い動きに追従、動きを音楽を聞きながらの予測
2)刻々と変化する環境光の色合いと明るさに対応
3)ペアのダンサー二人ともの顔が見えること
4)スカートや衣装の揺れやなびく瞬間がシャッターチャンス
5)顔へのピントの測距点合わせとその場合の構図作り
6)メモリーカードのメモリー管理と取替タイミング
7)被写体随従時の的確なズーミングと水平垂直対応
8)白いドレスの白飛び、黒い衣装や髪の黒潰れへの現像時でのパラメータ対応
その他、司会者挨拶や出場者スナップ撮影の際のレンズの素早い取替えやストロボ使用時の露出設定チェンジが求められます。
よく、撮影の事をフォトシューティングと言いますが、ダンスやスポーツ撮影は文字通り “shooting” だなって感じます。こんな時にもキヤノン製のハイエンドモデルのEOS 1DXはタフに意思通りにテキパキと働いてくれます。
出演者の皆様、お疲れさまでした。また、主催者のタンゴソル(http://www.tangosol.info)の皆様、ありがとうございました。