CP+ (CAMERA & PHOTO IMAGING SHOW 2016) Profoto セミナー

2月25日〜28日に横浜みなとみらいのパシフィコ横浜で行われたCP+ (CAMERA & PHOTO IMAGING SHOW 2016) という撮影機材の展示会のProfoto(ストロボメーカー)ブースにて最終日の28日に、セミナー講師を務めました。タイトルは「音を感じるポートレートライティング〜水野由紀を撮る〜」でチェリストの水野由紀氏の演奏やトークショーを交えて、共演してのイベントを行いました。

Profoto社製のB1というストロボは当社スタジオでは2年前に総入れ替えして使用しています。今回のセミナーのポイントと当社が導入した理由と完全に一致しています。「”Profoto B1″によって何が変るか!」についての話とデモを行いました。

1)まず、このストロボは従来のものと全く異なるのは電池式であり、電源コードが全くありません。スタジオ内がシンプルで引っ掛けたりする事も、電源位置によるライティングの妥協もありません。

2)モデリングランプはLEDで、熱を持たないので、被写体の直ぐ後ろに置いて髪の毛をバックから照らしてもドレスや髪の毛が燃えたり、被写体の方がやけどをしたりする危険性はありません。

3)HSS(高速シャッターシンクロ)なので、1/8000秒のシャッタースピードにも対応します。通常のストロボは1/250秒迄しか対応できません。これにより被写体に陰影を入れてシャープなライティングをしながら、且つ明るい場所でもf1.2の開放撮影ができ、後ろがボケる写真を撮る事ができます。

4)連写モードに対応しているので、パラパラ漫画や8mm映画の様な絵が撮れます。通常のストロボは1回シャッターを押してから次のシャッターにストロボが光るのは1.5秒位かかり一瞬の表情やポーズを撮影するのは困難です。これはフォトグラファーの腕ではなく、機材が対応していないからです。このストロボだと当社で使用しているキヤノンEOS1DXの高速連写(12コマ/秒)に対応します。しかもコードレス環境で。
*他社製ストロボでも連写対応のものはあり所持していますが、コードレスだと12コマ/秒の連写だと1枚おきにしかストロボが同調せず、半数の画しか撮れません。6コマ/秒と同様の結果になります。12コマ/秒を撮るにはシンクロコードが必要になり、行動が制限され、コードレス環境構想は貫けません。

5)このストロボは豊富なアクセサリーがあり、独特なライティングの創造が可能です。殆どのメーカーのストロボはアンブレラやソフトボックスのみの場合が多のに比べ、Profoto製のストロボは光を作る自由度が全く異なり、作りたいカタチの光をコントロールできます。これはフォトグラファーの技術の問題というよりも、画づくりに対するアイデアと機材選びの問題だと思います。

このセミナーで言いたかった事はProfoto B1を使用する事による「制限からの開放(精神的、物理的)」→「創作時間の創出」→「表現幅の拡充」です。

フォトグラファーはストロボの制限(コード、熱、待ち時間、シンクロするシャッタースピード等)から開放され、クリエイティビティー(何を撮るのか)に集中し、表現力を拡充していくという考え方です。逆に言えば、Profoto B1を使用すると、アウトプットが良く無ければ、フォトグラファーの感性がダサイという事になり、撮影に対しての問題点の切り分けが明確になり、常にフォトグラファーの感性やアイデア、創造性が裸にされる様になりました。人生がシンプルになりました。

デモではチェリストの水野由紀さんを被写体とし、限られたスペースの中で Profoto B1 と人の視線に近いボケ味のいいF1.2のレンズを使用して行いました。被写体とストロボの距離が1m以内でもレンズ開放で撮影できるというプロのフォトグラファー向けの地味なデモ内容にしました。スタジオ内で1/8000秒で同調して光り、使用できるストロボはフォトグラファーにとってはゲームチェンジャーだからです。また、音楽家の大事にする楽器のすぐ横にストロボを置く事など、LEDという熱を持たないモデリングライトを使用しているProfoto B1でしか考えられない事だからです。

デモの時に撮影した写真です。

↑ 髪の毛のすぐ後ろにストロボを置き、髪の毛のエッジを表現しています。


↑ 後ろの黒い壁に微妙なムラ模様を光で作りました。以前はムラ模様の背景にしたい場合は、毎回、布を張り替えていて、被写体の方を随分、待たせていました。


↑ チェリスト水野由紀さんの顔の表情と手元のみに1台のストロボでライトを当てました。以前は2カ所を強調してライティングする場合は2つのストロボが必要でした。しかもくっきり強調した光の境界線は作れませんでした。

私のセミナーやデモで耳汚しをしてしまいましたが、水野由紀さんの素敵なチェロ演奏が何とオープニング、エンディングで合計3曲聴く事ができ、私も心が洗われました。アルゼンチンタンゴ好きな私にとって、ピアソラのリベルタンゴは最高でした。思わず、ステージで踊りそうになりました。事前に作品撮りをした際の2つの動画上映も行ったので、使用した水野由紀さんの曲を含めると、5曲も限られた時間にもかかわらず聴く事ができました。

事前に撮影した写真は、水野由紀さんの音楽に対する想いが伝わる事をコンセプトとし、シネマライフな画づくりを行いました。

↑ この写真は昼の12時頃の明るい時間帯に撮影しましたが、ダークなどっしりとした風合いで撮影する事ができました。また、スタジオ横の庭スペースで屋外ですが、Profoto B1はバッテリーストロボなので、電源を気にせずに屋外でも使用できます。1/8000秒のシャッタースピードで同調させたので、明るい環境光であってもf1.2という開放で撮影でき、背景のボケ味が良く、ターゲットイメージ通りの画づくりが出来ました。その時のメイキング写真が下記です。

当社スタジオ内で色んなシーンを撮影しました。それらは動画に纏めました。しかも水野由紀さん演奏の曲をBGMとし、彼女の音楽に対する想いを語って頂きました。

Cellist Yuki Mizuno from hiroyuki soda on Vimeo.

メイキング映像にて撮影の裏側を纏めてみました。自分で見ても撮影当日を思い出せます。

BTS of “Cellist Yuki Mizuno” from hiroyuki soda on Vimeo.

私なりの演奏者へのリスペクトとして、BGMの曲は編集段階で決してフェードイン、フェードアウト等のトリミングはせずに、演奏者オリジナルの尺で編集して映像制作しました。

今回のセミナー(私にとって)、ミニコンサート(水野さんにとって)では、音楽家と写真家というジャンルの違い、キャストとスタッフという立場の違いはあるものの、表現者というコンセプトでの共通点があり、見学して頂いた方々には何らか化学反応を感じて頂けていたら嬉しい限りです。

追伸:水野由紀さん、今回の CP+のProfoto 社での共演はとても楽しかったです。本当にありがとうございました。また、お疲れさまでした。以前に一度、パーティーで水野さんのスナップ写真を撮影した事があり、「またいつか撮影する機会があればいいですね」とお話していましたが、実現しましたね。Profotoさんからお話を頂いた時、偶然だったのでポジティブにびっくりしました。一緒に共有する時間を過ごし、色々と学ばせて頂きました。また、いつかどこかでお会いする事を楽しみにしております。

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