6月下旬に作品撮りを行いました。
タイトルは「再生 -reBorn-」。都会の中で生活する女性が、立ち止まり、自分の人生を見つめ直し、想うところがあり、再度、母親の胎内に戻ったと仮定、その精神的な面を表現してみました。伝えたかった事は、unBornの状態から再び第2の人生に向けての再生-reBorn-するプロセスや精神的葛藤。
撮影会場に入り、まず、ストロボアクセサリーと衣装を一覧できる様に並べ、マッチングさせ、ストーリーをスタッフ(メイクアップアーティスト、フォトグラファー)とキャスト(モデル)全員に共有しました。そして、ヘアメイクや撮影の順番もこの時点で決める事ができました。
スタッフは撮影会場にあった部屋着に着替え、効率よく且つリラックスした雰囲気の中で創造力を発揮しました。
まず、メイクアップが始まりました。メイクの道具が多いのに驚きです。そして、その間に、撮影機材を出して、撮影場所への組立作業を始めました。
私はスタンドやストロボを大まかに設営を終えると、メイクをしている所の横でジッと被写体であるモデルを見つめる事が多いです。自分の頭の中でのターゲットとするイメージをより明確にする為です。その後、ストロボアクセサリーのセレクトとポジショニング(位置関係)がより明確になり、再度、最後の設営作業を行います。
今回の作品は3部構成です。
最初は羊水に包まれて、心身ともに開放し、母親の胎内で反省したり見つめ直したりする様子。
(上の写真)メインライトはフレネルスポットで、後ろからサブ的に髪の毛の輪郭を付ける為にスポット光も時として入れてみました。
そして、無の境地になり、白一色の世界に。
(上の写真)メインライトはProBoxで均一的な光を作りました。そして、アクセントとしてスポット光にGOBO(演出の為の型)を使用し、ドットを入れてみました。
この白い水の設定には、金粉を使用しました。この設定の為にすり鉢とすりこぎを持参していたメイクアップアーティストの幅さんには驚きです。
その時の撮影場所の状況です。
この光の距離でf1.2で通常モードで撮影できるのは、Profoto B1が2Wの出力に抑えれ、且つ、ProBoxで2stopを下げているからです。
最後はエネルギッシュに reBorn に向け、再度、実世界へ飛び立つ寸前。力強い精神力を強くカラフルな光で表現。
(上の写真)メインライトはスモールフレネルの力強いコントラストのある光源にして、後ろに被写体の影を入れて、その暗部及び被写体に対して3灯の色違いのカラージェルを付けたスポットライトで光のカラーリングを行いました。光源とモデルの距離を開けると光のカタチがぼやけてしまいます。且つ、今回の作品は全て視線に近い風合いを表現する為にF1.2のレンズを開放で撮影しています。白飛びさせずに、強い光、集約された光を表現するには、通常のストロボでは不可能です。HSS(Hight Speed Sync.)で1/8000秒にシンクロさせて撮影しました。よって、F1.2のボケ味の中にも、水滴を止める事ができました。
今回の様な水を使用する場所でも安全に撮影できるのは、バッテリー駆動のストロボだからです。もし、通常のストロボだと、倒れてバスタブにストロボが入ってしまうと電源から感電して、大変な事になります。また、コードのハンドリングが大変で撮影に集中できません。今回も自分のスタジオ同様に完全コードレス環境を設定して、撮影に臨む事ができました。ストロボ電源ケーブル、シンクロケーブルも無く、シャッターを切ってパソコンへの画像転送も無線LAN環境なので、撮影データを確認しながら進めて行く事ができました。
3シーンで使用レンズの系統と絞りが変るとトーンが統一できず、不自然になるので、全身系は50mm f1.2, 半身やアップ系は85mm f1.2のレンズを開放で使用しました。撮影場所は引きが無く、かなり限定されたタイトな場所ですが、機動力のいいストロボなので、作品コンセプトの想いをカタチにする事ができました。
今回は外会場の特設スタジオであり、アウェー環境で時間制限もある中、効率良く3シーンが撮影出来たのは、事前に3名で意見調整して、3名が一つのコンセプトによってスタイリストを兼務する事が出来たからだと思います。
最後はお決まりの “お疲れさん” 写真で締めくくりました。
Model: Yuco Takahashi
Make up : Yuki Haba
Photography : Hiroyuki Soda