写真撮影をしていて毎回、毎回、ファインダーの中で繰り広げられる「モデル」のポージング、視線、表情について、感じる事があります。感動や関心する場合、違和感を覚える場合、しっくりといく場合、そうでない場合等があります。それはモデル毎のみならず、シャッター毎の場合もあります。
(注:写真はイメージです。文章と直接に関係の無い場合があります。)
この「ポージング」「視線」「表情」というのはクセモノです。芸人がタイムリーに人前でアドリブをかます様なものだと思います。できる人にとっては何ら問題は無く、できない人にとってはこんなに難しい事はありません。
ただ、カッコいいポージングをするモデルにも2種類あります。毎回の撮影テーマによってポーズや表情を変えてくるモデル、撮影テーマが変わってもいつも同じのカッコいいポーズや表情を出すモデル。前者の方は作品の主旨を理解し、スタッフと作り上げていこうという方で、後者は鏡を見て熱心に自分の美しい角度等を研究している方なのでしょう。
私は撮影の際はモデルとイメージを共有して臨みます。ストーリー性のある作品では5W1Hを設定し、抽象的なテーマの作品では伝えたい事、表現したい世界観を具体的に言語にして伝え、モデルと撮影者がイメージを共有して作品を作り上げていく事を心がけています。すると求めるイメージによってポージング、視線、表情を変化させる事のできるモデルの場合はいい作品に仕上がっていきます。
もうひとつのモデルのカテゴライズとしては、撮影をしていて撮りやすいモデルと撮りにくいモデルです。撮影者が撮りやすい場合のメリットとしは、効率的に撮影すると、同じ時間内にバリエーションのある画づくりが出来き、よりいいものを作り込んでいけます。撮りやすさなど関係なく、撮影者がモデルに合わせて撮影すれば済みそうですが、より高品質のものを目指すなら協業するのが得策です。撮りやすいモデルとは、構図、ライトの位置、使用レンズ、撮影者とのポジショニング等も考えてポージングをされているモデルです。最低限の写真の知識を持ってられる方も多いです。
そこで、写真スタジオならではの内容でフォトポージング、視線コントロールの方法、表情の作り方のノウハウを纏めて、伝える機会を設けました。
随分以前になりますが、去る11月19日に「モデルポージング」ワークショップを実施したので、時間が経ちましたがレポートいたします。
(注:ワークショップでの状況写真は撮影できませんでした。残念!!)
内容の概略は(ここでは項目のみにしておきます)下記です。
1)ポージングの基本(立ち、腰掛け、床座り等/ポーズチェンジのタイミング、視線を外す場合の最大許容角度等)
2)モデルが知っておくべき写真撮影の基本(画づくりの構成、構図、露出とピント合わせ、ライティング等)
3)状況別のポージング(テーマ、ポジショニング、構図、ライティング、使用レンズ、衣装、ヘアメイク別)
4)スタジオ内での動きや習慣、衣装選びやヘアメイクやスタイリングのコツ
上記内容をベースに、論理的、体系的且つTipsを含めて実践的な内容について話しました。例えば「顔色が美しく見える服の色」「メイクが飛ばない様にするには」等の小話を交えて伝えました。
このワークショップの後、受講生のうち一人の方が宣材写真の撮影の為にスタジオに来られました。
ワークショップの時と全く違った動きで、驚きました。ほんのちょっと留意点を知るのと知らないのとこれだけ違うのかという様な変化でした。
服装チェンジした際もイメージを設定し、違った表情になっており、撮影者である私が回り込むと、その角度に相応しいポーズをとってられました。