ヘアメイク作品系撮影の場合の “テーマ” と写真にする場合の “画づくり” についての関係性について自分の考えを書いてみたいと思います。
ヘアメイクの作品系の撮影の場合には、現実的や日常的なストリーのあるテーマのものと、抽象的なコンセプトなものがあります。
前者の場合は、5W1Hを設定して、衣装や小物、家具、背景まで含めて画づくりを行っていきます。一方、後者の場合は、時系列や空間軸の設定は、さほど重要な事では無いと思います。
それよりも、ヘアメイクのデザインや色使いが何を伝えたいのかというコンセプトが優先されます。
今回は、その後者である抽象的で、クリエイティブなヘアメイクの作品撮りについて触れてみます。
例えば、髪型をはねさせる場合は、そこから何を伝えたいのか、何を表現したいのか。そして、そこに青を使う理由、赤のラインを引っ張る理由は何なのか等の理由付けが重要です。
では、次にフォトグラファーはそんなクリエイティブでデコラティブ、そして非日常的なヘアメイク作品をどの様に画づくりして行けばいいのでしょう。
具体的に、フォトグラファーのできる事は限られてきます。ヘアメイクデザインができる訳ではありません。
具体的にフォトグラファーができる事は、技術的には、レンズ選びを含めてのライティング、構図、表情やポージングのリクエスト等です。
どんな撮影でも同じですが、依頼者が何を伝えたいのかを押さえる事から始まります。
どんなヘアメイク作品であっても、撮影者側の事情や論理、または、撮影者の感性やフレーム内で撮影をする事など、有りえません。
撮影者の好みや、撮影者の感性の範囲など、全く関係ありません。私は依頼者の感性である「伝えたい事」「表現したい事」を理解して、論理的に淡々と画づくりしていきます。
そんな中、撮影した写真を見ているとある共通点を発見しました。
ヘアメイクのスタイルやデザインがクリエイティブであればある程、シンプルな画づくりにしている事です。ライティング、構図、背景、ポージング、表情において。そして、衣装もシンプルなものが似合うなと思います。
素材にパンチ、存在感があればある程、写真全体のデザインはシンプルに。「逆も真なり」かなと。
表情がシンプルというのは無表情、プラスチックなという事ではありません。あくまでもポートレートであって、マネキンにヘアメイクを施した物撮りではありません。
作品の世界観をヘアメイク、モデル、フォトグラファーが共有し、キャストであるモデルにその世界観の中に入り込んでもらうと、結果としてシンプルな表情になり、シンプルな画づくり、写真になっているという事なのかなと思います。
追伸:「シンプルな画づくり」とは 24-70 とアンブレラやソフトボックスを使用して、白ホリで明るく撮る事ではありません。ライトは作品に合わせて凝りましょう!!
追伸2:上記の内容とは直接関係がありませんが、ワークショップの告知をいたします。2017年1月28日(土)15:00 – 17:30 にポートレート作品撮りワークショップを行います。毎回、テーマ設定して、モデル撮影をして、画づくりのステップを体得していく内容です。ゼミ形式なので、少人数制で考えながら、実験しながらライトを作り込んでいき、考え方と技術的ワークフローの双方を習得していける内容です。詳細、申込は下記サイトへ。http://portrait-school.com/workshop.html