極楽鳥の様なカラフルな鳥をテーマにした撮影を行いました。
作品タイトルは現時点では未定の為、仮称 “作品鳥” にしておきます。(笑)
いつもシンプル且つナチュラルな画作りが多い私の作品ですが、少し暖かくなったので、色のある画を体が欲していたのでしょうか。ヘアスタイリストやメイクアップアーティストにも声掛けして作品撮りを行いました。
作品撮りをする際のワークフローの最初は「伝えたい事」の設定から始まり、ターゲットとする画を頭に思い浮かべます。今回のキーワードは “鳥”、 “カラフル”、 “立体的なヘアメイク”であり、思想よりもビジュアルに拘りました。そしてヘアスタリストやメイクアップアーティスト達と意見調整をして、皆の頭の中のイメージが同じ方向に向かって行きました。
ただ、”カラフル” と言っても自分の世界観/作風から、ポップでキュートな風合いよりも色んな意味で奥行き感を表現しようと思いました。
事前に衣装作りに取り組みました。色合いの統一感を重視して布選び行いました。
撮影当日に実際にモデルにヘアメイクが仕上がっていくプロセスを見ながら、衣装も改良、改良を重ねて行きました。撮影当日は私はライティング作りもあり、衣装制作はマネージャーの Noriko Usami氏が担当しました。
メイクアップアーティストの Yuki Haba氏はエアーブラシを使ってメイク素材をデザインして行きました。(▼ ユニークな存在の幅さん)
そして、ヘアスタイリストの Luna Yoshikawa氏はヘアスタイリング以外にネイル作りも担当しました。(▼ 現場の雰囲気を明るくするルナさん)
ヘアメイクやボディデコレーションも進んで行きます。
撮影に関しては私の拘りですが、バックペーパーや布バックによって背景の色や風合いを作らずに、白ホリ(白無地壁)を背景にしてライティングで風合いを作りました。理由は、カラーペーパーや柄布に作風が依存されたく無いのと、微妙な風合いや色合いのコントロールをしたい為、そして、出来合いの背景を使用しての撮影ではフォトグラファーとしては安易過ぎる選択肢だと思っているからです。そこで今回も色合いと風合いをライトで作ってみました。
色合いは、赤とピンクのカラージェルをつけた3灯のストロボのバランスで作り、風合いはスモールスポットに特注のGOBO (=Go Behind Optics)で、光の模様サイズと明瞭度を距離と出力バランスによって作って行きました。ヘアメイクの様子を見ながら、微妙に頭のイメージとライティングイメージを一致させて行きました。スタジオとヘアメイクスペースを近くしておくと創造性と機動力が向上する事を改めて実感しました。
色合いを作っていくのは、丁度、パレットで絵の具を混ぜて、カンバスに描く様な感覚です。筆にも細いもの、太いもの、平たいもの、毛が多い、少ないものがある様に、ライティング機材であるアクセサリー(= Profoto製の場合は Light Shaping Toolと呼ぶ)も同様です。
マグナム、バーンドア、スポット系のグリッド等にカラージェルを付けて、カラーリングをしました。また、トップライトは広がりすぎると背景の色が消えてしまうので、最小のソフトボックスである1×1.3’にグリッドを付けてモデルの頭部を当てて、髪やデコレーションのテキスチャーを表現しました。
上の写真の一番左下にあるのはライトではありません。エアコンの風を嫌ってオフにしたので、モデルの暖をとる為のヒーターです。(笑)
サブライトの話を先にしてしまいましたが、順番から行くと、メインライトとレンズの選定と設定が先であり、最も重要です。前日の深夜にウエイトトレーンングの為のジムに行き、シーンと静まり返ったジムの中で、まさにベンチプレスをしている時に天井を見ながらメインライトとレンズのアイデアが浮かびました。標準ズームレンズを使用してF5前後の絞りにして、ビューティーデッシュにグリッドを付けてライトグレーの背景に薄目のカラーリングをしようと思いつきました。
しかし、実際にモデルの雰囲気とヘアメイクの仕上がり状況を見ていくうちに考えが変わりました。自分の当初からのターゲットイメージにより近づける為に、撮影寸前に作風に一番大きな影響を与えるレンズとメインライトを変更する事にしました。
メインライトはかなりコントラストの強いスモールフレネルスポットに光の指向性をコントロールすべくバーンドアを取り付けたものを使用しました。このアクセサリーは光の広がりも調整できる優れモノです。そしてレンズは50mmと85mmのF1.2を使用し、開放近くのボケ味が良く、人の視線に近い画作りをしようと試みました。しかし、問題が発覚しました。メインライトは灯台のライトに使用される位、光量が強くなるフレネルスポットで、且つ、背景に彩度が強い色合いを持ってくる為には、背景をダークに落とす必要があり、且つ、光を広範囲にせずにスポット性を持たす為にはストロボをモデルから離す事はできません。するとどうしても白飛びをしてしまいます。平たく言うと、強い光でも白飛びをさせない必要性があります。
そこで考えたのは、スタジオ内でも普通にHSS(ハイスピードシンクロ)を使用する事です。この作品ではだいたいシャッタースピードが1/3000秒前後で撮影しています。このハイスピードシンクロがスタジオ内で簡単に使用できるのは Profoto製のストロボの特長です。普通のストロボでのスタジオ撮影だと1/60秒〜1/250秒のシャッターでしか撮影できません。その場合、撮りたい画に対するクリエイティビティがかなり制限されてしまいます。
今回はデコラティブな立体的なヘアメイクだったので、構図やモデルの向く方向によってストロボの位置を動かす必要がありました。さらに6灯のストロボを使用したのでストロボ間やモデルとの微妙な位置関係も重要でした。バッテリー駆動で電源コード不要のストロボである Profoto B1 が重宝し、ライティングの微妙なバランスを妥協なく調整をする事が出来ました。更にHSSが使える無線トランスミッター(Profoto Air TTL)と、撮影データを瞬時にパソコンで確認する為の無線LANトランスミッター(キヤノン製)によるコードレス環境が、創造性に集中させてくれました。
ライティングに関しては、Profoto社の豊富なLight Shaping Tool、HSS、コードレスストロボ(B1)があったからこそ実現できた作品です。
そして、ポートレート撮影で最も大事なのは、被写体であるモデルの空気感です。そこは何度か一緒に作品撮りをする機会があった Shiori Takashima氏とのコミュニケーションによってスムーズに進める事ができました。作品の世界観を伝えると、彼女はそこからイメージしてポーズや視線、表情をコントロールしてくれました。
最後は「お疲れ様写真」を作品と同じ様なライティング環境で撮影しました。(撮影:Noriko Usami)
Cast & Staff:
model: Shiori Takashima
hair styling: Luna Yoshikawa
make up: Yuki Haba
dress: Noriko Usami
photograph: Hiroyuki Soda
Tool:
Camera/Lens: EOS 1DX markⅡ、50mm f1.2, 85mm f1.2 (canon)
main light:Fresnel Small+Barndoor
sub lights:Magnum Reflector、OCF Barndoor、Grid Small 10°、Spot Small + GOBO(w/color gel)、Softbox 1×1.3’+ Grid( profoto)
最後にモデルの Shiori Takashima氏とツーショットでも撮影して見ました。顔が赤いのは照れているのでは無く、カラージェルのライトが当たっているからです。(笑)
「スタッフ/モデルの皆様、お疲れ様でした。ネイルやボディーメイク等も含めて、一人何役もあり大変だったと思います。モデルの高島さんもイメージ通りの自然な動きをすぐにして頂けたので、本当に短時間の撮影が実現しました。」
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【告知】
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毎回、モデル撮影の実践を通して、設定されたテーマに沿ってライティングを作っていくワークショップ。
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体系的且つ実践的に参画してポートレートライティングが学べる内容です。
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