小学校の運動会の撮影を行いました。
依頼者からの事前情報としては、スケジュール(演目)と用途を伺いました。用途は卒業アルバムと写真販売用でした。その他、何を撮影するのかは、撮影者一任でした。
そこで、いつもの如く、事前にまず、自分なりに撮影キーワードを頭の中に列挙してみました。現場に着いてからですが。その方が臨場感があるので。「元気さ」「明るさ」「楽しさ」「協力」「勝負」「全力」「応援」「仲間」「笑顔」等。
そして、それらのキーワードが伝わるシーンを撮影しようと試みました。
もう一つは、用途からの観点です。「卒業アルバム」は対象は6年生だと推測すると、ピンよりも複数人数。「写真販売」からは、依頼者が売りやすい、売れる写真を撮影しなければならないので、広角や全体系よりも少数か、ピン中心。そして、販売がデータでは無く、プリントだとすると、デジタル比率の3:2(150:100)ギリギリの構図だと、プリントサイズ(Lサイズか2Lサイズ)にしたときに、両端はカットされるので、少し余裕のある構図にして撮影する事にしました。
続いて、撮影技術的な観点からは、さほど記載する事はありません。ブレない露出設定をする事ですが、屋内スポーツでは無く、太陽光が充分なので、比較的余裕にシャッタースピードは確保出来ます。気にする事は、太陽が雲から出たり入ったりするし、朝から昼下がりでは光量が変わるので、頻繁に確認する事です。また、厄介なのは、カメラを持って走るので、ボタンが体に触れたりもするので、とんでもない値に変わっている事がよく起こる事です。よって、カメラの設定ディスプレイと画像ディスプレイの確認とアジャストが大事です。
画像ディスプレイは画像を見るのでは無く、ヒストグラムを読む事です。明るい太陽光の基では、画像は適正であっても真っ暗に見えます。ヒストグラムは正直です。
このブログで言いたかった事は上記の様な撮影技術についてでは無いです。技術面は上記の長い前置きに過ぎません。
その前に写真を挟みます。これは今日の撮影ギアです。
昼休みに自撮りしてみました。カメラ2台で24-70mmと70-200mmのレンズを取り付けました。そこは普通ですが、今回は通常のカメラストラップでは無く、BLACKRAPID社のカメラスリングを使用しました。
(写真は同社のWEBから使用。該当ページはhttp://www.blackrapid.jp/news-2/ダブル-ブリーズ購入/)
理由は、以前にカメラ2台を首から吊るして走って撮影をすると、カメラ同士がブツかって、買って間も無くの1DsMk3のディスプレイを割ってしまったからです。このカメラスリングだと脇の両側に各々のカメラが吊るされるので、カメラ同士が当たる事がありません。しかも、2台を首から吊るして撮影すると、下の方(カラダ側)のカメラは上のカメラストラップにひっかり邪魔しあう事があります。このタイプならスムーズです。
話を戻します。
今回のブログで言いたい事は構図とも関係してきます。
やはり、子供の撮影をする際は子供の視線で低くとると臨場感もあり、大人の上から視線ではカッコよく無いし、頭でっかち+短足になり、成長段階の子供の脚を表現出来ない上、カメラマンの手抜き感満載の撮影になってしまいます。
特に今回はカメラマンは私一人だけだったので、役割分担やゾーンカバーは出来ません。スタートからゴールまで、引きと寄り。そして、学校撮影でもう一つ大事なのは平等に撮る事なので、前列のみや、一部の人のみを撮影する訳には行きません。有力選手のみの使える写真撮影が求められるトップアスリートの撮影とは性格が異なります。
まとめると、端から端までを低い姿勢で撮り続ける必要があります。しかも効率よく冒頭のキーワードテーマに合ったシーンを撮影するには、動きの早い、元気な姿が写せるポジショニングがキーになります。楽しいシーンは紅白対抗の場合、勝った個人やチームの方が喜びの笑顔が撮れる確率が上がるので、勝敗を予測して、走り込む必要があります。
具体的には、低い姿勢をキープしながらバックペダルを踏みながらシャッターを切り続け、次の予想したポジションに素早く先回りして走り込まなければなりません。組体操系の様に全体に広がる演目の場合は、サイドペダルを踏みながら全速力で走りながらシャッターを切り続けないと全体が撮れません。
まとめのポイントとして、小学校の運動会を撮影するには、「体力」です。息が上がろうが、汗をかこうが、労を惜しまず、ただただ低くかがんだ姿勢で走り続ける体力です。特に低学年の場合は、カニ歩きを永遠とし続ける体力です。
1)求める絵のイメージ
2)求める絵が撮影できる場所へのポジショニング
3)低い姿勢でのバックペダル、サイドペダル、カニ歩きの継続
学生時代のアメフトを思い出しました。この動きはまさにラインバッカーのバックペダルであり、アジリティードリルでした。今日の撮影をしている最中に色んな事が脳裏を横切りました。アメリカのハイスクール時代のチームは試合での選手交代が全速力で走る文化がありました。いつもコーチのブラック氏の口癖は “Hustle,all the time. Give the 100% of your own”でした。今日の撮影で求める絵が撮れるだろうと予想した場所へ全速力で走らなければ、コーチに喝を入れられそうでした。また、バックペダルを踏んで撮影している際も、日本の大学の浮田コーチの口癖である「低く、速く!」が聞こえてくる様で、少しでも労を惜しみ、高い姿勢になると、後ろから蹴られるのでは無いかと思いました。何年たっても忘れないものです。
しかも、テレビのドキュメンタリーのナレーション風に言うと「その時、曽田の脚は悲鳴を上げていた」的でした。と言うのも、昨夜の筋トレの部位が脚で、スクワットとデッドリフトを中心とするメニューでオールアウトまで追い込んでいました。
また、話がずれますが、今日の昼食です。やはり、午後からのパフォーマンスを最高値に持っていく為には食事が大事です。
私の体サイズの場合、1食あたり30gのタンパク質摂取が目安です。成分表示が明記されている分のみで40gは超える事ができました。サラダチキン25g、牛乳7g、プロテインバー11gで合計約43g。加えて、ツナとたまご、揚げ豆腐があるので、約50gくらいでしょうか。さらにビタミン系はスムージー、エネルギー系はバナナとアミノ酸を摂取し、午後からの撮影に備えました。
私はポートレート撮影の表現力は「感性」×「技術」と言ってますが、運動会のスナップ撮影はそれに加え、×「ポジショニング」×「体力」だと断言できます。
一度、「運動会のスナップ撮影ワークショップ」でも実施して、バックペダルやカニ歩きをしながら撮影するエクササイズを行おうかと思いますが、参加者ゼロが予想されるので、やめておきます。
カメラマンの皆さん、体を鍛えましょう!
諸々、記載しましたが、これが私のメッセージです。
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(Information)
ポートレート撮影のワークショップを開催しています。次回は10月21日(土)、テーマは “レトロ&アンティーク 〜時代感を表現する〜” 。詳細はサイトにて。