友人のフォトグラファーのご家族写真を撮影する機会がありました。
通常、家族写真を撮影する際に撮影者として押さえておきたい情報やポイントを書いてみます。
1) 事前情報
1.目的や用途
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撮るべく写真をイメージし、キーワードを頭の中で整理し、撮影方針と方向性(テーマ「伝えたい事」)、風合いやトーン(表情、フォーマルか、カジュアルか等)を設定。アウトプットの形状(プリントやwebの縦横比)から構図制限等を知っておく。
2.家族構成(特に核家族でない場合)、各メンバーの身長差、衣装の風合いや色
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撮っておく被写体の組み合わせ、主役の位置、集合写真の並べ方、ピントや露出を誰を中心に設定するか、スタジオに入って頂く順番やユニット、ポーズ付け
3.当日の予定
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撮影ペース、時間の掛け方と優先順位
2)撮影をしていく中で分かってくる情報
1.表情、動き、目つぶりの多い人、各自の性格(根気、影響力やリーダーシップetc.)、体調や機嫌(疲れ、眠気)、どんな言葉や音に反応したり視線が来るのかの観察
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シャッタータイミングを誰に合わすか、進行の組み立てや撮り方etc.
2.家族の間柄や人間関係、視線誘導や表情作りや撮影の進行にプラスになる人、楽しそうな人
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家族内での撮影協力者の発掘と依頼等
色んな情報からニーズにあったアウトプット、スムーズな進行、楽しいイベントになる様に心掛け、且つ具体的に提案しながら撮影しています。(一般的に)
今回のKファミリーの撮影の場合は上記ポイントから導き出される目標の画作りについての提案をする暇もなく、気が付けば、個性豊かな子供達が自由にスタジオ内を走ったり踊ったりが始まりました。困るどころか、あれこれとシナリオや演出を悩みながら考えて行く必要もなく、more than welcom でした。
私が考えるいいポートレート写真、そしてその方法は、
1)「被写体の自発的な動きに勝るものは無い」。撮影者が導くべき場合は、被写体が迷っている場合、求められる画と違う方向に進んだ場合のみ。
2)「先手必勝」。いい瞬間は二度と戻って来ないので、早めに押さえておく。特に子供撮影の場合は飽きる前に撮影しなければなりません。子供撮影の生命線は演出よりも被写体の動きや表情だと思います。
よって「被写体の自発的な表情や動き」の一瞬を撮る為に、スタジオ側が押さえておくポイントは、
1)スタジオ内でのシャッターを切れる範囲を最大限確保
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1.写真の背景となりうる壁の範囲を最大限にしておく。(理想は360度、どの方向でもどのタイミングでも撮影できる事)
2.必要最低限の機材のみで対応(撮影内容によって必要機材を変えて、準備しておく。撮影毎に余分なものはスタジオ内に置かない)。
3.動き回る被写体に対しては全方位的なライティング設定をしておく。
2)素早くシャッターを切れるカメラとストロボ設定
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1.素早い測距点移動操作
2.随時、オートフォーカスとマニュアル固定フォーカスの頻繁な切り替え操作による瞬時シャッター
3.適正露出の確認とアジャストの為、カメラから顔を離さずにヒストグラムが確認できる設定とファインダー内での数値操作
4.例えISOが高めであっても、ストロボのリサイクルチャージを早くできる低めの出力設定
そして、「先手必勝」で撮影しておいた場合は徐々に演出を加えて行く余裕も出てきます。
逆光で撮影したり、
スタジオ内に遊べるコーナーを作ったり。ただ、今回の撮影では、例えコーナーを作っても子供全員に集まってもらったり、ポジショニングの重なりや視線のコントロールはほぼ私の力で通用しませんでしたが。(笑)
例え動きが激しくても(単数の被写体の場合)、もし、既に「先手必勝」で押さえてあれば、F1.2やシフトレンズでの撮影にトライする事もできます。また、アシスタントがいて、作品テーマに合致していれば(今回は撮影主旨ではありませんが)、被写体の動きに合わせてスポットライトを追従しての撮影にトライしてみる事も可能です。どれだけ早い段階で求められる写真を撮っているのか次第で組み立てが変わってきます。
とても仲のいいご姉兄弟でした。が、個性豊かで、1枚の写真に3名を入れる事は至難の技でした。
誰かがアップになっても、誰かが後ろでいい味を出して、脇を固めてくれます。
お姉ちゃんは最後までダンシングクイーンでした。
スタジオでの撮影も終え、待合室のフォトギャラリーでもスナップ撮影が続きました。
今回はフォトグラファー仲間のKファミリー様の撮影レポートだったので、” スタジオでの家族撮影あるある ” 的にフォトグラファーの視点から纏めてみました。かなり一般的では無い内容でしたが。これで「シナリオや演出の無い家族写真撮影」のレポートを終わります。
「Kファミリーの皆様、楽しい撮影に立ち合わせて頂き、ありがとうございました。今後、更にどんな動きにも素早く追従できる様にスクワットと匍匐前進エクササイズ強化して体を鍛えておきます。」
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フォトスタジオ SODA PLAZA の
ファミリーポートレート サイト http://www.family-photo.studio