先日、スタジオで作品撮りを行なったので、レポートします。
テーマは ” オトナのピンク ” 。表現したい事は、オトナのしっとりとした色気のあるピンクの世界観です。
「ピンク」と聞くと、ハイティーンのガーリーなイメージや小さな女の子の服装やバッグ等が最初に思い浮かびます。今回は敢えてオトナの女性の持つしっとり感、色気のあるピンクをドレスやイルミネーションで演出して表現してみました。
最初にモデル(Yumika Sakata)とヘアメイク(紅緒)とイメージ共有の為に打合せを行いました。ドレスを前にして、ターゲットイメージの共有に始まり、具体的にヘアスタイル、メイクアップのデザインに関しての内容でした。
作品撮りの手段(あくまでも私の場合)として、最初に伝えたい世界観を設定していく段階が一番悩むところです。今回はモデルの方に事前にスタジオに来て頂き、動き、表情の作り方、雰囲気やイメージ等を確認しました。
その時の写真を先に紹介します。
モデルの持つ特性やイメージと日頃から自分が表現したい、自分の好きな世界観との共通点を見出し、テーマを設定します。
テーマ設定と同時に最終的な出来上がりの写真(=ターゲットイメージ)を頭の中に思い浮かべます。
そして、そこからの逆算で、ドレス、ヘアメイク、小物等のスタイリングが決定し、同時に画づくりを具現化する為のライティングの方向性を決めます。
光玉を後ろにボカして、且つ、前には光のムラ、髪にはドライフラワー、レンズ前にもドライフラワーで前ボケにして、それらの4つのテクスチャーをシームレスにミックスさせた画づくりを行いました。
その為、事前にイルミネーションを後ろに設営しました。
メインライトの選択で全く違った写真になるので、この見立てがライティングで最も重量なステップです。今回はフレネルスポット+バーンドアをメインにしました。このメインライトはかなり光の指向性も強く、顔と周りのコントラストが強くなり周辺が急激に落ちます。顔は真っ白に写り、周辺は真っ黒になります。今回のモデルは髪の色がダークなので、ディフューザーをバーンドアに付けて、ダイナミックレンジを広げてみました。
カメラのレンズを通しての写真よりも、視線に近い写真が好きなので、F1.2のボケ味のいい明るいレンズを開放での撮影にしました。通常、アンブレラ等の拡散した光には明るいレンズでの開放撮影は向いていますが、スポット系の指向性の強いライトでは白飛びしてしまいます。そこで、HSS(ハイスピードシンクロ)モードで撮影する事にしました。このモードであれば1/8000秒までシャッタースピードをコントロールできます。通常、スタジオ撮影ではストロボの同調スピードの制限があり、露出設定の際にはカメラ側ではレンズ絞りとISO感度の2つしかコントロールできず、求める風合いに対して妥協しなければならない事があります。スポットライトの指向性を維持して近い距離から強い光を被写体に当て、且つ、ボケ味を演出するにはスタジオ内でのHSSは不可欠です。Profoto B1のHSSモードのお陰で作風の幅が広がりました。
ただ、LEDのイルミネーションを使っての撮影の場合、HSSだとシャッタースピードが速い為、イルミネーションが消えているタイミングでのシャッターも出てくるので、歩留まりも多くなることがわかりました。人間の眼ではLEDはずっと光っていますが、高速で点滅しているのでしょう。
そしてドライフラワーを前ボケさせてみました。
ヘアメイクへの現場での微調整のリクエスト、ライティングの確認が出来れば、次は撮影本番で、モデルへの表情やポーズのリクエストです。ただ、重要なのは作品の世界観とストーリーを説明し、イメージを共有して、モデルに自発的にポーズや表情をコントロールしてもらう事です。右手や左手、視線等のみのリクエストだと、白々しくチグハグになってしまいます。
今回のモデルの坂田さんは表現力豊かなので、シャッター毎に微妙に表情を変えてくれます。
次にモデルが座っての撮影です。モデルが座るとより奥行きのある立体的な画が撮れます。
今回は背景へのピンク色のカラージェルで2灯打ち、更にモデルの髪を目掛けて同じくピンクのカラージェルのスポットを打ちました。座りの場合はProfoto A1を使用してモデルの背後から髪の毛に向けて打ちました。
そして、前ボケのドライフラワーも入れました。
最後に寝ての撮影です。
上からのクロースアップ撮影。
最後は「お疲れ様写真」で締めくくりました。
BTSは動画にて纏めてみました。
model : YUMIKA SAKATA
hair & make up : 紅緒
photographer : HIROYUKI SODA
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Portrait School のポートレート撮影ワークショップ :
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(次回の撮影ワークショップは2019年1月26日(土)15:00-17:30 テーマ:「ポートレートを演出する背景とテクスチャーの研究」)
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